SSブログ

旅の思い出 その3 [イタリア]

とうとう、連載3回目を迎えてしまった、

旅の思い出・・・。

その1はこちら。 その2はこちらから。

 

シャルル・ド・ゴールから東京へ向かう便は、

無事離陸した。

 

航空会社は確か、エール・フランス。

座席は、前にスチュワーデスが向かい合って座る列の、

前から2番目の通路側。

右手斜め前方には、2階席へあがる階段があった。

 

わたしの席の左側は、日本人の親子。

わたしと同じくらいの年齢の娘さんと、そのお母さん。

 

水平飛行に入ると、飲み物とピーナッツが配られるはず。

なんで、あれってピーナッツなんだろう・・・ね。

(日本の航空会社はお煎餅もまじってるけど。)

 

 

ところが、いつまでたっても飲み物のサービスが始まらない・・・。

 

 

 

バタバタ、バタバタ。

 

スチュワーデスが、行ったりきたり。

2階席に上がったり、下りたり。

 

彼女たちの表情は「険しい」とは言えないが、

無表情な感じ・・・。

(きっと、問題がおこってもお客に動揺を与えないよう、

訓練されているに違いない。)

 

 なんだろう・・・。

 いやな予感。

 

 

 

機内放送が入った。

「うんたら、かんたらぁ~、うんたら、かんたらぁ~」

 

「それじゃあ、わからんて・・・」

 

 

しかし、何か問題がおこったに違いない。

スチュワーデスの動向を見守りつつ、

周囲のひとたちの表情から、何か情報を得ようと試みる・・・。

 

 

なんだろう、なんだろう。

おなかすいたし、のどもかわいたし。

 

相変わらず、せわしなく動き回るスッチーたち。

 

 

「うんたら、かんたらぁ~。

エンジントラブルゥ~。うんたら、かんたらぁ。」

 

 

 

え!エンジントラブル??

 

 

 

 

「うんたら、かんたらぁ。

万が一のため、燃料をすべて捨ててから

緊急着陸いたしますぅ。」

 

「うんたら、かんたらぁ。ハンブルグゥ」

 

 

 

どーも、エンジントラブルで緊急着陸するらしい。

場所はハンブルグ。

こわいのは、万が一に備えて

燃料を捨ててから着陸するってー話。

 

 

万が一??

爆発しちゃうかもしれないの??

 

 

 

これは、かなりヤバイ。

 

 

 

緊急着陸に備えて、

まずはスリッパから靴に履き替えた。

例の滑り台方式の脱出となると、

靴は脱がなくちゃいけないかもしれないけどね。

 

そして、パスポートとキャンディーを

ポケットの中におしこむ。

 

万が一の時、これで身元は分かるし、

万が一の時、これで飢えをしのごう。

 

着々と万が一に備える、わたし。

 

 

 

あー、しかし、まったくついてないね。

呪われた、イタリア旅行だよ。

なんてことを考えていると・・・・。

 

 

 

 

 

「あら。晩ご飯は ハンバーグなのかしら??」

 

 

 

と左側から陽気な声が・・・。

 

 

お母さん・・・。

あなたはエライ。

確かに、ハンブルグステーキはハンバーグステーキかもしれないけどね・・・。

 

機長が

「今晩のメニューは、

お肉はハンブルグステーキ、お魚はひらめのムニエルでーす♪」

なんてアナウンスするはずがない・・・

 

いいですか、お母さん。

 

われらの乗っている飛行機はエンジントラブルのため、

緊急着陸ですよ、緊急着陸。

そいでもって、今、

万が一に備えて

燃料捨てながら飛んでるんですよぉ・・・・。

 

 

 とりあえず、

 機長のアナウンスは晩ご飯の案内ではないことを伝え。

 

 祈りましょう。

 あとは祈るしかないもんね。

 

 

 

 ハンブルグに無事着陸・・・。

 無事着陸したときは、神様に感謝。

 

ほぇ~助かった。って感じ。

 

 

 さて、ここからが、また運命の分かれ道。

 

「はい、ビジネスクラスの方はこちらへ~」

 

なんと、ビジネスクラスとエコノミークラスの分別が始まった!

ビジネスの人たちは、さっさとJALの飛行機に乗せてもらえるらしい。

 

小市民たちは、そのまま待合室へ押し込まれる。

いつ、どうやって帰してくれるのか、情報もなし。

(いえ、情報はあったのかもしれないけど、ヒアリング能力がなくてね。)

 

いいよな、ビジネスの人は・・・。

 

 

 

一体、どれだけ待ったのか、覚えてないけど、

小市民たちを運ぶ飛行機がようやく決まった。

 

我々が乗る飛行機は、ルフトハンザ航空

 

お。いいじゃん。

ルフトハンザ乗るの初めてだし。

(そんなところで気をよくしてどーする、わたし。)

 

機内では早速、飲み物サービスがありましたよ。

しかし、ごっついなぁ、ここのスチュワーデス・・・。

 

そんなことぐらいしか覚えてないんですけどね。

ルフトハンザの空の旅は、まあ快適。

 

間もなく飛行機は下降していきます。

 

 

お、乗り換えかい?

 

 

 

降り立った、その空港は。

どこかで見覚えのある、風景・・・・。

 

 

 

え。

また 「シャルル・ド・ゴール???

 

 

 

 デジャヴじゃなくて??

 

 

 

→はい、12時間後に振り出しに戻る。

 行きも帰りも、シャルル・ド・ゴールに吸い寄せられるわたしでした。

THE END 

  

 

追記:

この事件は当時、ニュースとして流れ、

機内(たしか2階席)に煙が発生したため、

緊急着陸したことを後で知りました。

わたしはその後、なんとか無事帰国。

パリからの空の旅は、24時間以上かかりました。

 

 


nice!(6)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 6

コメント 8

kurenainosora

ご無事で何より...ハンバーグには、ちと笑い...
by kurenainosora (2006-02-18 01:30) 

molihua

kurenainosor..さん♪
nice!&コメント、ありがとうございます。
いやいや、笑える話になってよかったです。
ほんと。
ハンバーグ事件は一生忘れません。(笑)

好(ハオ)くん♪
歓迎光臨!
nice!ありがとうございます。
by molihua (2006-02-18 12:12) 

CHOCOCO

またまたオチが笑えました。
いや笑ってはいけないですよね。
すべり台みたいのはスライドラフトと言って、結構降りのは怖いですよ。
昔勤めた職場がそういうところだったので(笑)

ハラハラドキドキ楽しませていただきました。
by CHOCOCO (2006-02-19 11:52) 

meg-eddie2

自分、本当に飛行機苦手です。
一時間が限界です(苦笑)

コワイ経験されましたね、
無事でなによりです、安心しました。
by meg-eddie2 (2006-02-19 20:01) 

molihua

好くんさん♪
nice!ありがとうございます。

CHOCOCOさん♪
えー!航空会社関係にお勤めだったのですか?
スチュワーデスさん?
怖いということは、滑り降りたことが?!
ちょっと興奮・・・(笑)

megさん♪
飛行機苦手なんですかー。
私も得意ではないです。
4時間以上はかなり苦痛・・・。

笑い話にできて、ほんと良かったです。
by molihua (2006-02-19 23:17) 

molihua

HALさん♪
nice!ありがとー。
by molihua (2006-02-21 00:17) 

あおい

そんなところにも小市民とビジネスの差がでるんですね。
食事や席の広さくらいかと思ってました。
笑える話になれて何より。
by あおい (2006-02-26 00:11) 

molihua

あおいさん♪
そうなんですよ~
ホントに危ない時には一体どんな
サービスの差が出てしまうのか・・・
こわ~
by molihua (2006-02-26 07:57) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

旅の思い出 その2 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。